第3章 教授を追う先生。
ハリー達三人が廊下を歩いているときだった。
向こうから真っ黒なコウモリのような男が歩いてくる。
「ゲェ、スネイプのやつだ」
ロンがあからさまに嫌そうな顔をした。
そのスネイプの後ろで赤毛の双子がコソコソと何かをズボンのポケットから取り出し、顔を見合わせて笑っているのが見えた。
「あの人たち、また何か変なことを考えているに違いないわ!」
ハーマイオニーが焦ったような声を出すが、ハリーとロンは一体何をしでかしてくれるのだろう、と目を輝かせる。
「ちょっと! このままスネイプに鉢合わせて、その瞬間にあの人たちのイタズラが決行されたら私たちきっと巻き添えを食らうわ!!」
「うげ…」
確かに、それは十分に有り得る…というかこれまで何度も痛い目を見た二人は顔を見合わせた。
減点は勿論避けたいが、罰則はもっと避けたい。
スネイプにネチネチ文句を言われながら、鍋を洗わされたり、虫のみじん切りをさせられたりするなんてまっぴらごめんだ。
想像するだけで反吐が出る。
「ど、どうしよう?」
ロンが情けない声を出すが、スネイプはすでに自分たち三人の姿を捉えて、渋面を隠しもせずこちらへ向かってくる。
今ここで端に避けて柱に身を潜めようものならば、何かあると言っているようなものだ。
フレッドとジョージは当然三人に気づいている。
分かっていて、その機を狙っているのだ。
どんどん近づくスネイプとの距離。
後数メートルですれ違う、そのとき。
フレッドが大きく振りかぶるような動作を見せた。
「マズイ…!!」
何かボールのような物が飛んでくる。
「ああっ…!」
ハーマイオニーは両手で頬を押さえ、ロンとハリーは悪戯心と焦燥感の混じった複雑な顔でその行方を見守った。
「「よし、めいちゅ……っ?!」」
フレッドとジョージが投げたのは、ピンク爆弾。
そのまま命中すれば、スネイプがまっピンクの液体まみれになる…はずだった。
音はなかった。
しかしその爆弾は、確実にバィンと弾んでフレッドとジョージの方に戻ってくる。
大慌てで避けようとするが、時すでに遅し。
「「うわぁ?!!!!」」
ビシャン!!!
一瞬にして双子はピンクになる。
不意に上がった叫び声に、スネイプは振り返ろうとした。