第8章 整理整頓。
「セブルス。カノコソウの小枝はイラクサの隣でいいですか?」
「ラベンダーの後ろに置いておけ」
「わかりました」
ぐちゃぐちゃに詰め込まれているかのように見える薬材の棚は、多少変動はあるもののいつも同じ場所に同じものがあるようになっている。
見分けの付きにくい材料は特に固めてある。
しっかりと材料の間違いがないか見極めてから選ぶ習慣がつくようにだ。
後はよくマダム・ポンフリーから作成依頼のある薬の材料はひと所になっている。
特に年度始めは一年生が飛行術の授業でしょっちゅう怪我を負うので、ハナハッカエキスはもちろん、複雑骨折の際には一旦骨を失くしてからスケレグロという骨生え薬が必要になる。
その材料であるオオタマオシコガネなどは棚の前列にあり、クリスマスを過ぎる頃には後列へと引っ込む。
(とても効率的ってわけではないんだけどね…)
セブルスの助手になってしばらく経つが、彼の満足する並べ方を習得するにはあと数年かかりそうだ。
(って…何を考えてるんだか)
自分は魔法薬学教授の座を狙っているはずだったのに、最近はそれを忘れかけている気がする。
いつかセブルスを助手にしてやる!!と息巻いていた時期もあったのだが。
(はぁ…夢は遠いなぁ)
当分の間はセブルスの小間使いだ。
彼の背中を追いかけていると、すぐに学生気分に戻ってしまう。
気を引き締めなくては。
キラはブンブンと頭を振ってから、再び薬材の補充に精を出すのであった。
end