第1章 オイシイ話に要注意。
『嫌、ですね』
でも、私はキッパリと即答して断った。
だってそんなの、フツーに考えて無理ゲーだ。
ゴム弾しか装弾してないのにどうやって実弾装備のマシンガンに勝てって言うんだ。
即答した私に、佐賀美先生はやっぱそうだよな・・・と言いたげな表情を浮かべる。
『そんなの私になんにもプラスになる事が無いじゃないですか。
絶対すぐにバレて男装がシュミのイタい女子ってレッテル貼られますよ』
「お前の言ってる事は正論だが、そこをなんとか頼めないか?
・・・学院内で使える通貨も、その・・・お前が希望する額を支給する・・・らしい」
なんてこった。
どうやら学園長とやらは相当めでたい頭をお持ちのようで。
学院内通貨の事は初耳だったけど、まさかそれを私が希望する額を支給するなんて言ってくるとは。
なんてこった。(2回目)
『お金で釣れるって、学院側が本気で思ってるんならキレますよ』
「・・・・・・・・・・・・・・・だよな」
謝るくらいならば、そんな提案はしてこないでほしい。
例えその提案が円だとしても、お断りだ。
どれだけ小馬鹿にしたいんだ学園長は。
私の機嫌がモロに顔に出ていたらしく、佐賀美先生は申し訳なさそうに眉尻を下げた。
なんだ、学院側の支給提案は佐賀美先生も乗り気じゃないらしい。
「・・・今の希望額支給の提案は却下していい。
男装がバレてプロデュース科を降りたいって思ったのなら、普通科なり演劇科なりに転入しても構わないらしいからよ。
俺も出来る限りのフォローはする。俺より頼りになる奴も協力してくれるって言ってたから、入学早々即バレるなんて事はさせない」
頼む。と今度は頭まで下げてくる佐賀美先生。
こんなに頼みこまれたら、だんだん断りにくくなってくる・・・。