第1章 オイシイ話に要注意。
なんだ、気さくそうな佐賀美先生が言いにくい内容なんて。
まさか上からの圧力とかなんだろうか・・・。
あのセキュリティーを考えるとそう言うブラックな一面があると言われればなんとなく納得してしまいそうだ。
学校の手荷物検査、なんてレベルじゃない。
スクバは中身を全部出され、出てきた財布の中とかいざと言う時の為に入れてある生理用品が入ってる巾着袋の中までガッツリ見られた。
くっそ、マジでここは学校なのか。
暇潰し用に持ち歩いてる本まで確認されるとは。
本の内容は思いっきりゲームのノベライズ化されたやつだからBLとかホラーとかじゃないけど・・・。
・・・うわあ、もしそう言うブラックな学校とかだったらどうしよ・・・。とちょっと心配しながら佐賀美先生の言葉を待った。
「・・・うちの、学園長がな。
お前の入学願書に貼られてた証明写真を見て、第六感が発動したらしい」
『・・・・・・・・・あい?』
予想してた回答とは些(いささ)か・・・いやかなりズレた答え。
聞き間違えではなければ、私は学園長の第六感を理由に入学先の学科を左右されかけているのだろうか。
佐賀美先生の言った言葉の内容にぽかんとしていれば、更に言葉を続けた。
「・・・それも、女子生徒第1号と言うより男装女子生徒第1号として入学させたいんだと」
『・・・・だ・・・dansou・・・??
・・・え、男装って・・・あれですよね。
世間一般にも性別的にも女の子なのに、その身に宿している女子力をゼロにして男子の扮装をしてクールにボーイッシュに男の子として振る舞う・・・あれですか』
「なんか違う気もするがそんな感じだ」
『・・・・・・男装・・・・・・』
「学科としてはプロデュース科特待生。
・・・まあ性別を偽って学園生活を送るって前提なんだから当たり前だよな。
・・・あー、どうだ。やってくれるか?」
比較的穏やかに薦められる。
学園長の、そんなアテにならない第六感でホイホイと進路が決められていいものだろうか。