第1章 オイシイ話に要注意。
『・・・・・はあー・・・』
「・・・やっぱ、だめか?」
『・・・・・・どうせだったらソロで活動させてくださいよ・・・』ボソッ)
「・・・ソロのユニットで活動出来るならOKなのか?」
『例えばの話ですよ、たーとーえーば。
原則でユニットは2人からみたいですし無理なん「やってみるか?」・・・あい?』
「うちの学園長、かなりお前に期待してるみたいだからそれなりの申請なら快諾してくれるだろ」
半ば躍起になりかけてきて、出来もしないであろう要求をぽっと呟いた。
原則は原則。
よっぽどの事じゃないとその原則を変えるなんて、ありえない。
そう思っていた、のに。
何やらおもむろにズボンのポケットから白いスマホを取り出してどこかへ電話し始める佐賀美先生。
「原則って変更可能っすかねえ」「なんでもソロで・・・」「やっぱ金銭的にはアウトでしたよー」と、ぽんぽん進む通話。
え、なに。なんなの嫌な予感しかしない。
どこかに電話して、ものの数分でスマホを仕舞う佐賀美先生。
「学園長権限で、お前さんのソロ活動が認められたよ」
『・・・え・・・は、?』
「通貨支給の提案したのは謝るだとよ。まあお前さんを試すつもりだったんだろうけど・・・」
なんだ、そうだったのか。
会った事無いけど、もし試すつもりじゃなかったのなら私は学園長の事を好きにはなれそうもなかったよ。良かった、学園長は正常なようだ。
私が要求した件に学園長直々の認可が降りて、完全に墓穴を掘ってしまった。
こんなの、ここまで下手(したて)に出てくるなんて思ってもなかった。
私の答えを待つように佐賀美先生が見つめてくる。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・あーもう、解りましたよ。
元々ここには専願できましたし、そこまで譲歩されたら・・・断るに断れないじゃないですか。
・・・・・・夢ノ咲学院の男装女子生徒第1号、やります』
なんだか根負けした感じ。
原則を変えてまで学園長は私に期待しているらしい。
私の何がそこまで期待されてるのかはさっぱりだけど。
こうして私の・・・夢ノ咲学院と言う未知なる世界での物語が幕を開けた。