第1章 オイシイ話に要注意。
『・・・・・は、男子しか居ない・・・?』
やたらめったら面倒極まりない検査をついさっき終わらせて、案内されたのは応接室だった。
ほんと、マジで。
アメリカとか外国の刑務所とか監獄とかそんな感じのセキュリティー規模。いやそう言う所入った覚えは無いんだけど・・・ドラマとかでよく出てくるあんな感じ。
校門をくぐって、手続きとか手荷物検査とかして。
疲れた。
もうこの時点で帰りたい。
でも、まだ要件が済んでない。
SPだか警備員さんに案内された応接室。
そこには先客が居て。
ああ、自分が入学志願した高校の保健医・・・佐賀美(さがみ)陣(じん)先生だ。確か。
うちのオカンが彼のブロマイドを真顔で「いやあ惚れるわ」と見ていたのは記憶に新しい。
その保健医が出迎えとは・・・一体どんな要件なんだろう。
そう考えていれば、軽い挨拶を終えて言われたのが聞き捨てならない内容だった。
「ああ、アイドル科は男子だけだぞ」
『・・・え、でも共学・・・・・・』
「それは近々の話だ。
女子のアイドルもそろそろ育て始めてもいい頃合いなんじゃないかって話に纏まって、だったらテストケースで取り敢えず入学させてみよう・・・って事になったんだよ」
『・・・・・・とどのつまり、お試し入学みたいな感じですか』
やれやれ、と言った感じで説明してくれる佐賀美先生。
ま、そう言うこったな。と頷いている所を見ると佐賀美先生もこの話に対してそんなに賛成している訳じゃなさそうだ。
『でも、なんで私なんですか?
私の記憶が正しければ第1希望が普通科で第2希望が演劇科って書きましたよね』
「あー・・・・・・それなんだがな・・・」
単純に思った事を口にすれば、佐賀美先生は何やら口ごもった。
・・・?
なんだろう、言いにくい事情なのだろうか。