第2章 入学し・・・・・・き?
先手は赤髪さんらしい。
彼はよほど人気なのかなんなのか、ギャラリーが沸いた。あ、違った湧いた。
・・・そう言えばこのステージに押し出される前に、乙狩くんが「ボーカル対決だ。・・・得意な歌はあるか?」「・・・鬼龍先輩も、さすがにB1で名前も知らない新入生相手に本気で手を出したりはしないとは思うが・・・一応気をつけろ」とか言ってたっけか。
それ、逆に言えば新入生以外だったら手を出してきたりするって事?
てか、手って何。え、まさかの攻撃・・・とか?
とかなんとか考えてる内に、ステージのすぐ脇にあるスピーカー数台から音が流れ始める。
『(・・・!!
うわ・・・・・・す、ご・・・)』
圧巻、とはこの事か。
初っ端っから魅せてくれる。
大きな大きな音は、日頃音楽に触れて聞いている私の耳にとてもよく響いた。
和風っぽいけど、それでいて所々にロックを散りばめている。
彼の威圧感を感じさせる声音がそのメロディに乗って、演奏になっている。
本当に周りと・・・自分と同じ制服を着ているのかと聞きたくなるくらいだ。
音が、曲が。歌が。
彼のパフォーマンスを彩っていく。
凄い。
これが、アイドルなんだ。
これが、演じて奏でるって事なんだ。
ゾワゾワする。
ドキドキする。
恐怖心?
好奇心?
ドクンドクン。
まるで心臓が耳元にあるんじゃないかと錯覚するくらいだ。
『(・・・やばい、なあ。
あーもう・・・・・・これだから、音楽ってのは・・・・・・)
面白いんだよなー・・・・・・』
ぽつり。
ほぼ無意識に呟いた。
私、何呟いたんだっけ。
まあ、いっか。
今はとにかく、聞いていたい。