第2章 入学し・・・・・・き?
青い空。
白い雲。
舞う桃色の桜。
現在地、野外ステージの上。
「・・・・・・俺もナメられたもんだな。
まさかこんな矮小で貧弱極まりなさそうな小童が、新学期早々の相手とはな・・・」
『はは、は・・・。まあ、そうなりますよ、ね・・・。
(こ、こわっぱって言われた・・・小童・・・・・・)』
「てっきり朔間かあの小僧が出てくると思っていたんだが・・・。だがまあ、勝負は勝負だ。
悪く思うなよ、小童」
なんで。
なんで、こうなった。
私は朔間さんから「歌に自信はあるか」と聞かれて『それなりには』と答えただけなのに。
それなのに。
それ、だけなのに。
あーあどうしようこれ・・・。
絶対に、面倒な事に巻き込まれ始めてるよ。
もうやだ。ダッシュでエスケープしたい。
目の前には軽く睨んでくる赤髪さん。目は・・・多分グレー?これは絶対年上だよ。同じクラスに居たら絶対ボスとして君臨してるよ。
て言うか泣きたくなってきたよ。泣いていいかなこれ。
なんで私、ヘッドセットを装着しているんだろう。
なんで私、ステージの上に立ってるんだろう。
「くっくっく、お手並み拝見じゃの・・・♪」
『さ・・・朔間さん・・・』
「・・・これ、腹を括らんか。
相手が相手なのじゃからここは新入生らしく全力で当たって砕けてみい。それにせっかくの晴れ舞台じゃ、軽くパフォーマンスをつけてみても問題無いじゃろ。
じゃからその捨て犬のような瞳で助けを求めるでない」
『砕けたら恨みますよ・・・。
・・・はあー・・・・・・えっと、相手になんないとは思いますけどお手柔らかにお願いします』
赤髪さんから「・・・ああ」と短く返事が返ってくる。
ガヤガヤと騒がしくなり始める野外ステージのギャラリー。
なんのライブなのかさっぱりな私なんてさておき。割と人数が集まりつつあるギャラリーの中にはアイドル科の生徒も居るのか、顔の整った人もチラホラ見える。