第2章 入学し・・・・・・き?
なんだってんだ・・・。
いきなり連れて来られて、今度は目の前で繰り広げられる言い合い。
まったくもって銀髪くんの目的が解らない。
連れて来られた私はどうしろって言うんだ。
銀髪くんと黒髪さん(雰囲気的に年上な気がする)があれやこれやと言い合っているのを眺めていると、紫髪くんと目が合った。
「・・・すまないな、巻き込んでしまって」
『え。・・・あー、えっと?』
「俺は・・・1年の乙狩(おとがり)アドニスだ」
「あ、テメ~アドニス!
なに勝手に自己紹介してんだよ!」
「ふう、ほんにやかましいわんこじゃのう・・・。
そう吠えてる暇があるならばわんこも名乗ればよかろう?」
「チッ、テメ~に言われなくてもするっつーの!
俺様は1ーBの大神(おおがみ)晃牙(こうが)様だ」
「ふむ、少々上から目線なのは引っかかるが・・・まあよしとしよう。
我輩は2ーB所属の朔間(さくま)零(れい)じゃ。よろしくの?」
『あ、はい。
私は朴槻セツナです。こちらこそ、よろしく?』
何をよろしくするのか解らないけど、社交辞令的なあれでお互いの自己紹介を済ませた。
あ、そう言えば入学式・・・と本来の目的を思い出した所で校内チャイムが鳴った。・・・マジでか。
あーあ、早速学校行事サボっちゃったよ。
溜め息をつきたくなる気持ちを抑えていると、朔間さんが「朴槻・・・?」と私の苗字を復唱してきた。
「ふむ・・・そうか、ぬしが・・・」
『?』
「ああ、いやなに。こちらの話じゃ。
してセツナくんよ・・・ぬしは、歌に自信はあるかえ?」
どっちの何の話かは知らないけど、朔間さんはやっぱり楽しそう(と言うか寧ろ愉しそう)な表情を浮かべてそんな事を聞いてきたのだった。