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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第2章 第一章 雨の日


ーーー破天荒にして、じゃじゃ馬。何かあればとにかく口より先に足が出る。得意技はライダーキックならぬ刀剣キック。必殺技は墓石落とし。本体はほぼ、ただの鞘に収まりし鈍器。
性格は能天気にして、考えなし。基本、自由人。
…………………………どうしてこんなのを作った。
それはまさに、政府全体の叫びであった。
一時検査のため政府にて保護された100振りの彼岸花。
一振りにつき二人の担当役員が決められたまではよかったが、見た目を大きく裏切り自由奔放な彼岸花に「美少女の教育係」という誰が作ったのかも解らない肩書きが「破壊神の手綱役」へと昇華された。
扉、棚、襖、窓、自動販売機、机、椅子。
奴が壊した国宝…………になるかもしれない工場産の物は数えきれず、「お前は一体どれだけの物を殺せば気がすむんだ!」と僅かな付喪神心に訴えかけるも、失敗。
早く本丸に送り出せと、暴動が起こる寸前、奴の留置場は決まった。

モブ「…………本体は持ったか?」
彼岸花「おう!ばっちりだせ!」
モブ2「何かあったら帰ってきても……………………………………い、いいんすよ」
彼岸花「そんな顔で言わんでくださいよ。流石に罪悪感が襲ってくる」
モブ「嘘つくな」
彼岸花「いやね。言い訳としたら色々あるんすよ。まぁ………全てを理解してもらえるとは思わないけど」
モブ「急にキャラ変えてもお前の本性は理解してるから、結構。」
連れないなぁ、と言いつつ彼岸花は二人に背を向けた。
たった、10日の付き合い。だが、2人には沢山の事を教えてもらった。
彼岸花「今までお世話になりました。何だかんだで面倒見てくれて嬉しかったよ。またね」
手を振り、刀に戻る。何度やってもこの感覚は肝が冷える。
長い眠りにつくのと、同じような感覚。寒くも暖かくもない、重力もない、真っ暗な世界に目を閉じる感覚。でも、声は聞こえる。
次に目を覚ますとき、そこに主が居ると思うと少し心が弾んだ。
どんな人だろうか。

モブ「うっしゃ。じゃあ、送り届けますか」
モブ2「そうっすね。」
刀を手にもち、先輩役員が時空ゲートを潜る。それに続いて、後輩役員も時空ゲートを越えた。
向かう先の本丸。どんなところかは解らないが、この破天荒な友人が幸福に暮らせる場所だといい。
二人の思いは、同じだった。
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