第2章 はじめまして私の異能/太宰さん
「な、何だ、テメエはッ!!」
「え……?」
自動ドアをくぐると、いきなり銃をつきつけられた。目出し帽に小太り体型の彼は、きつい目で私を見ている。周りを伺ってみて、初めて状況に気付いた。
私は、あろうことか銀行強盗に遭遇してしまったのだ。
親子連れ、お金持ちそうな紳士、和服のお婆さん、銀行員……。それぞれの嗚咽がうるさく混じりあう。
「手を挙げろ! 撃つぞ!!」
強盗が凄んでみせたので従う。私達人質は、銀行内の一角に集められた。強盗の一人に手首をロープで縛られていると、傍らに座っていた女性が泣きながらすがった。
「お願い……お願い、娘だけは」
「五月蝿い!!」
「ひッ」
「いいか、勝手にガタガタ話すな!!」
娘らしき少女が泣き出した。強盗は少女のほうに振りかえる。
これは、まずい。歯を小さく噛み締めた瞬間だった。
背中に突然、冷気を感じた。慌てて確認すると、うなじの数センチ下辺りから、背中に薄い氷の膜が張っているのがわかる。
軋む音を立てながら氷が広がる。その膜は範囲と厚み、冷気を増しながら強盗のほうへと這っていった。
……なに、これ!? どういうこと!?
目の前で繰り広げられる荒唐無稽な様子を見て、少女が機嫌をなおした。すすり泣きは一気に止む。人質たちは、氷の行末を静かに見守っていた。
蛇のようなその氷は、遂に強盗の足元にまで這ってきた。ニット帽の彼は、手下の動きを見はるのに夢中のようだ。氷がぴたりと動きを止める。
数秒もしないうちに、氷が強盗に襲いかかった。