第1章 始まり
「…夏織ちゃん?どうしたの?」
「…あっ、いや、その……私の超高校級の才能…思い出せなくて……」
「え?なにそれ大丈夫!?なんか記憶が混乱してるとか!?」
「あ、いや、そんなたいしたことないと思うんだ。たぶんどこにでもありそうな平凡な才能……かな。たぶんすぐ思い出せるよ。心配かけてごめんね」
「大丈夫だよ。これから思い出せばいいんだし!」
真昼ちゃん、明るくて頼りになって、本当にいい子だなあ。
私は真昼ちゃんににっこりとお礼を言った。
この時点で名前がわかったのは、十神くんと真昼ちゃんだけ。
ツンツンヘアーくんはまだ気を失ってるし…、大丈夫かな。
「次、僕自己紹介してもいいかな?」
「え?うん…」
ふわふわとした白い髪の毛に、何か深い思考がありそうな目をした男の子が、少し照れながら自己紹介を始めた。
「僕は、狛枝凪斗。超高校級の幸運っていう、ただたんにくじ引きにあたったから入学できたっていう、ツマラナイ才能を持っているんだ。僕みたいな凡人が恐れ多いけど…よろしくね。」