第3章 ーおそまつの心はー
「だ・・・誰って・・・・。」
私には答えがわかっていた、傷つかないで素直におめでとうと思った事も、決定的だなと自分で感じた。
「何で?あつし先生結婚すんだぞ!!悲しくないのかよ!?」
俺は答えが分からなくなると途端に不安になってしまう。まさか他のやつだった?俺の把握してない事があるのかと思うと、気遣いより焦りの方が先行してしまう。
「おそまつさん・・・落ち着いて・・?」
「だって!そんな・・・俺の知らない奴と・・・。」
俺は無理やりいいんちょーを抱きしめて、なにが起こっているか分からない、いいんちょーの唇に無理やり自分の唇を押し付けた。
『え?私おそまつさんになにされているの?』
私は、彼がなにに怒っているのかもなにに焦っているのかも分からない。
でも
「やめてっ!!」思いきりおそまつさんの頬を平手で叩いた。
私の気持ちを知らないで、そんな気まぐれに行動されても分からない。
私の気持ちを踏みにじられている気がして涙が溢れる。
「いいんちょー・・・。」
俺は涙に濡れているいいんちょーの顔を見て青ざめた、今俺・・・なにした?
「おそまつさんが何に怒っているか分からないけど、私をからかうような事はやめて!!思い通りに行かなかった事がそんなに腹立たしかったの!?そんなに・・・っ!!」
「おそまつさんが、私にあつし先生を好きでいて欲しかったなんてっ!!」
私はおそまつさんの肩がぶつかっても気にせずその場から逃げた。
いいんちょーの言葉を俺は頭の中で繰り返していた。
あのコンビニでのやりとりも思い出していた、自分のことには俺は滅法疎い。
昨日初恋だと知り、その相手がいいんちょーだと知り。
そしてまた、今。無理やりしたキスは気持ちよくないことを知って。
「お・・・れ・・・何やって・・・。」
そして、いいんちょーが俺のことを好きなのを知ってそれを台無しにしたのも今気付いてしまった。
ドアが開く・・・そこにいたのはいいんちょーでも兄弟でもない。
「トト子ちゃん?」
「ここで・・・・ここで追いかけないんだったら貴方は相当馬鹿よ。」
スタスタと俺に向かって歩く町内のアイドル。
「貴方達が駆けていくようすをみてただ事じゃないと思ってついていったわ。」
俺は、見せる顔がなくて俯いていた。