第2章 ー 一松は、はじめておもった。 ー
え?
顔が同じでもって、俺たち兄弟の誰かってことなのか?
「ごめんね、こんな状況でも持ち前のひねくれさでわかってないんだ。うちの兄さんは。」
トド松がこっちを見た後深いため息をつく。
俺を見てため息ってことはクソ松のことか?。
「トド松〜!お前今日かっこいいぞ!お兄ちゃん感動した!母さんからのお小遣いで、すたびゃー行ってやるよ!」
トド松はくしゃっと顔を歪め、その顔を隠すようにおそまつにいさんの腹にキックを入れていた。
おそまつにいさんがキックを腹に受けながら真剣に俺を見た。
「おまえはさ、自分になにもないなんて思うんじゃないぞ。俺たち六つ子、同じ顔が6つ・・・・。でもそれぞれ確かに違うんだから、違うってことちゃんと持ってるんだからな、だからな、お前がこれから羨ましい展開になっても全然嫉妬とかしないよ?むしろ喜び?みんな違ってみんないい的な?わかる?ちょっと俺的にはこのままの一松でいいかなぁって思うんだよね。いろいろ気づいて図に乗られてもお兄ちゃん困っちゃうっていうか。ていうかそろそろお腹痛いよ(´Д` )」
おそまつにいさんの真剣は長続きしない。
でもなんか、言いたいことはわかったっつーか・・・・。
「なんか、ありがとう。」
おそまつにいさんとトド松は微笑んだ。
「じゃ!これ以上いたらお邪魔だろうから退散するわ。」
「一松兄さんは手強いから頑張ってね!ダメだったらいつでもぼくのとこにおいで!」
俺は2人がいなくなった途端、彼女に近づく。
「あんた、怪我とか大丈夫?保健室行った方がいいと思うんだけど。」
それでなくても服は濡れてるしお腹も痛そうだし・・・。
「うん、ごめん・・・そうするね。」
彼女は、あっと少し小さな声で何かを思い出した。でも、それを俺に言っていいか迷ってるみたいだ。
「・・・・何?」
「ごめん、着替えたいんだけど・・・体操服あの子たちに破かれちゃってて・・・。」
あいつら、倍額にして請求書送ってやろうか。
「んじゃ、俺のでいいじゃ・・・いや、嫌だよな。トド松のは(トド松いわく)いい匂いがするから勝手に借りればいいか。」
あいつもきっと本望だしな。俺は教室に取りに行こうと彼女に背を向けた、その時だった。
「・・・・嫌です。」
「え?」
振り返ると彼女がうつむいて必死に言っていた。
そんで・・・耳が真っ赤だ。
