第2章 ー 一松は、はじめておもった。 ー
相当な覚悟を持って俺は体育倉庫にたどり着いて、そして勢い任せに体育倉庫の扉をぶちあけた。
最初に目に飛び込んできたのは、彼女が悲痛な顔をして異臭のする水に濡らされお腹を抱えて横たわっている姿だった。
俺は本気で怒ると頭の中は冷静になるんだとこの時初めて知った。
固まっていた女の手にはハサミ。他の女の手にはほうき。バケツ。ぞうきん。床には彼女に投げつけたのか、バスケットボールが多く転がっていた。
「ふーッ・・・ふーッ・・・・。」猫が怒る時みたいな呼吸をして女共を睨みつけた。
女共は俺のただならぬ空気にどんどん飲み込まれてゆく。
俺は動けない女共はほって置いて彼女のそばまで歩いた。
制服の裾で顔を拭おうとすると顔を背け「汚いよ。」と顔を見せようとしない。
「いいから、汚くなんかねぇから。」強引にこっちを向かせると彼女の目が大きく揺らいだ。
「汚いよ。」きれいな水はとめどなく、今まで我慢した分が爆発してドバドバと出てきた。
「きれいだよ。」おまえはどこも汚くなんてないのに。
「汚ねえのは・・・あんたらだよな。」
女共の顔が醜く歪んだ瞬間、おれは女共に俺の苛立ちをぶつけようとバスケットボールを手にとって投げようとした。
その時だった。
「だめだよ!一松兄さんッ!」
「あ?」
そこには気持ち悪いくらいの笑顔を浮かべたトド松が立っていた。
「いくらこの子達が僕ら以下のゴミクズだからって傷をつけるのは感心しないなぁ。」なんだこいつは、いったい何しにきたんだ?本気でワケがわからない。
女共の味方ってわけでもねえようだが。
「わけわかんねーこと言ってんじゃねえぞ。」
大げさにやれやれって動作をした後、俺と彼女の前に盾になるように立った。そして一気に化けの皮をはがした。
「こうゆうのは頭良くヤンなきゃ?ね?おそまつにいさん?この頭悪い子達に色々これからのこと教えなきゃね?」
え?なに?にいさんもいんの?
「ねえねえー!おっぱい揉ませてくんない?さっきから無駄にはだけてるから気になっちゃって気になっちゃって!」いつの間にか女共の背後に回っていたおそまつにいさん。
「「「きゃぁあああああっ!!」」」そしてすごい悲鳴。
さあ、一松にいさんのために、手のかかる弟のために、
一肌脱ぎますか。