第2章 ー 一松は、はじめておもった。 ー
猫達は目がハートになりながら喉を鳴らし、お腹を向けて褒めごろされている。猫を優しく撫でる細い指しゃがみこむ足は程よく肉が付いていてむちっとしてそうで。髪は猫の毛に負けないほど触り心地が良さそうだ。
・・・・やはり俺はごみだな・・。
「ねえ・・一松さん・・・また猫触りに来てもいいですか?」
「あ?」
「駄目かな・・?」
「別に・・・////。」
そうして今もこうして猫と彼女との日々が続いている。別に俺達は何かを会話したりしない。彼女も微笑んだまま、無言で猫達に煮干しを与えていた。沈黙がしんどいとは思わなかった、猫にひどいことをするわけでもないし、俺も猫を撫でるのに忙しいし、彼女は兄弟のことを根掘り葉掘り聞いてくるわけでもない。(大抵クソ松かトド松あたりのことが多い)ただただ穏やかな時間を過ごしていた。
でも、この穏やかな時間は・・・彼女にとってはひとときであると俺は知っていた。相変わらず、女共には嫌がらせを受けている様子だった。
彼女は昼休みにここに避難しに来ているといった具合だ。女共はきっとまた猫にひっかかれたくないためにこちらには来ない。
そのはずだったんだ。
今日は俺が奮発してカリカリを持ってきた、彼女にばっかり煮干しを恵んでもらうわけにはいかねぇし。それに猫達も喜ぶからな。
ガサガサガサッ。
「あ?」
ガサガサガサガサガサッ。
おかしい。いつもはカリカリの袋をならせば飛んでやってくる猫達が今日は来ない。いつも、ハーメルンの笛吹きの如くついてくるというのに。嫌な予感がひしひしと心臓をつかむ。いつもの場所に俺は走った、彼女はいつも先に行って待ってるはず。
だけどそこに彼女の姿はなかった。