• テキストサイズ

【刀剣乱舞】守護者の恋

第1章 守護者の日常


(といっても、本当の仕事はそれじゃないんだけど……)
頭巾をしているのは、理由がある。顔を出さないのは恥ずかしいから、ではない。
本丸を「守護」する者が存在することはあまり知られておらず、束穂も自分以外に「守護者」が何人存在するのかをよく把握していない。
ただ、この「守護者」は「本丸」に限定されるわけではなく、ここのような「本来あるべき姿ではない姿でいる者達が集まる場所」によく必要とされ、審神者のような能力者が何かしらのプロジェクトに関与すれば、あちこちから声がかかるものだ。
「付喪神が大量にいる」この場所は異質な空間として様々な干渉を受けやすくもあり、それらを狙う者に感知もされやすい不安定な場所になりやすい。
そればかりか、この本丸はそれ自身の「移し身」を残し、時には審神者の力を持って本丸ごと時代を移ることも可能な異空間でもある。
そのような不安要素を外界から気づかれないように「なんの変哲もない空間」を維持をするのが、守護者の第一の役割だ。
束穂は生まれ持っての才覚で、空間を封印する、結界を施す、などの不思議な力を持っていた。幼い頃に発覚してからそれを悪用しようとする大人の手から手へと渡り続けたのだが、この本丸の審神者がそんな彼女を救ってくれ、守護者への道を示してくれた。
だから、恩返しのため、今ここでこうやって働いているのだが――家事は守護者の仕事以外で唯一の得意分野だったし――守護者はいくつか不自由がある。
守護者は人数が少ないため、あまり顔を人に知られない方が良い。顔バレをしては、知る者にみつかった時に「あいつがいる場所は何かある」と直ぐに嗅ぎつけられてしまうからだ。
また、できるだけ対象となる空間から離れない方が良いため、本丸の外に出ることが出来ない。ゆえに食材なども毎日配達をしてもらい、非番の刀に台所に運んでおいてもらうことになっている。
そんなわけで、彼女は毎日この本丸で働いているけれど、忙しさと顔を隠していることから、あまり刀達と交流が出来ずに日々を過ごしていた。
最初にやってきた加州、それから薬研、今剣などとはそれなりに会話はしたものの、あれよあれよと人数が増えてとにかく日々を回すことでめまぐるしく。
ようやく生活のルーチンが出来た、とここ数日思ったところだった。
/ 160ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp