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【刀剣乱舞】守護者の恋

第3章 近づく距離


そんなわけで、時々束穂の年齢やら頭巾をなんでしているのだろうとか、そういった話題が出ては「わからん」で終わり、出ては「わからん」で終わり……。
「第一、女性の年齢を根堀葉掘聞き出そうとするのは雅ではないよ。大切なのは年齢ではないだろう」
とは歌仙の言葉。
「そのようなことを知らずとも、十二分に働いてくれているのだからそれで良いではないか」
とは長谷部の言葉だ。
だが、一部の者達はやはり気になるらしく
「だって束穂は本丸から出られないんだろう?どこかにでかけた時に、彼女におみやげを買って帰りたいと思った時に、おおよその年齢がわかった方が良い場合もあるに違いないし」
決して無理強いをするつもりはなさそうだが、その意見は確かに納得が行くもので、うーん、とみな唸らずにはいられない。
そんな言葉が出るには理由があった。
今の季節は梅雨ももうすぐ明けようという頃。
本丸から歩いて20分程度のところで紫陽花祭というものをやっていて、審神者が希望者を連れて出かけたのはつい先日のことだ。
紫陽花が沢山咲いている神社の鳥居前には簡易的な市場が設置されており、紫陽花をモチーフにしたアクセサリーやら布製品やらがあちらこちらにあり、綺麗なもの好きな刀剣は大喜びだった。
確かにその時、誰かが「束穂さんにおみやげを買って行こうか」と言い出した。
そして、みなで悩んだけれど、結局女性ならではのものを選ぶことに尻込みして、紫陽花を形どった和菓子を買ってきたのだが
「女性に食べ物というのも、まあ、間違いではないが……」
なんて苦々しく思う者も中にはいたようだった。そのことがあってから、ここ最近誰も口にしなかった「束穂の年齢は」だとか、そういった詮索に繋がったというわけだ。
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