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【刀剣乱舞】守護者の恋

第2章 守護者の秘密


「いわとおしもいっしょだと、たのしいです!」
カチャカチャと懸命に食器を洗いながら、今剣は楽しそうに笑う。
「はっはっは、そうかそうか」
「だからぼく、あるじさまにおねがいしたんです」
「何をだ?」
「ぼくがいわとおしといっしょにいるのがたのしいように、きっとほかのみんなもじぶんがだいすきなだれかといっしょにいるのはうれしいんでしょう?」
「ふむ」
今剣の言葉は子供の言葉のように思えるが、それはこの世界のすべての人間にとっての真実だ。束穂は黙ったまま二人のやりとりを聞いていた。
「いまは、あるじさまがだれがしゅつじんしてだれがえんせいにいってだれがひばん、ってきめてますけど、たまにはみんなすきなときにすきなひととひばんにしてもらえたらうれしいですって」
「そうかそうか。今剣は優しいのだな」
「いわとおしはどうですか?ぼくといてたのしいですか」
「うむ。楽しいぞ。次の非番がきたら、共に昼寝でもするか」
「おひるねですか」
「ここ最近、昼間の風がとても心地よい。出かけるのも良いが、まだ畳の新しい香りが残る部屋で大の字で寝るのも良いものよ」
「いいですね!」
その二人の会話に束穂は決して入らなかった。
束穂は、三条の刀を他に三振知っている。
一体三条の刀と呼ばれる刀がこの世界にどれだけあって、どれだけの刀が付喪神として本丸で力を発揮できるほどこの時代に念を残しているかはわからない。
けれども、少なくともあと三振は「この本丸に来てもおかしくない」状態でその魂をこの時代に保っていたことを彼女は知っている。

お二人は、他の三条の刀を知っていますか。
そして、待っていたりするんでしょうか。

尋ねてどうするのか。答えを聞くのだって怖いというのに。
どうしようもないその問いを飲み込むには、二人の会話に入らないようにと努めるしかなかったのだ。
と、その時がやがやと給仕当番の刀達がやってくる声が聞こえた。最初に台所に入ってきた青江はこの様子を見て目を丸くした。
「遅くなっ……なんだ、岩融も今剣も、給仕当番じゃないのに。ありがとう」
「たまにはよかろう」
「束穂、あとは僕達がやるからおしまいにして良いよ」
「はい。では、よろしくお願いいたします。みなさんおやすみなさい」
挨拶を丁寧にして、束穂は足早に勝手口から出て離れに向かった。
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