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【刀剣乱舞】守護者の恋

第2章 守護者の秘密


それから数日、脇差も短刀も遠征に精を出し、他の刀達もそれに負けじと審神者の指示を仰いで出陣をしていた。
一期一振は「打ち漏らしはすべて任せろ」と笑う岩融を背に、誰よりも早く切り込む長谷部を前にと、心強い部隊編成で戦いに慣れるよう出陣を二度ほど行った。兄弟達に一日べったりされている気疲れはなくとも、それはそれでだいぶ彼も疲れたに違いない。短刀達を元気づける夕食をと審神者に言われていた束穂だったが、一期一振のことも考え、できるだけ食べることにストレスを感じないものをと気にかけた。
最終日の夕食後、審神者の部屋に数人ずつ呼ばれて何やら話があるようだった。
いつもは皿洗いなどを給仕当番にまかせて束穂は離れに戻るのだが、審神者に「みなとの話が終わるまで申し訳ない」と頼まれ、仕方なく(というほど皿洗いが嫌いというわけではない)皿洗いを一手に引き受けた。
「さてと……」
台所で30人分の食器をワゴンからテーブルにひとまず移し、まずは油がついているものといないものを仕分けする。大きなたらいに洗剤を薄め、油がついている食器はすべてそちらに入れる。
と、しばらく皿を洗っていると
「束穂、てつだいますよ」
ひょっこりと今剣が台所に入ってきた。
「良いんですか?もうお話は?」
「ぼくのはなしはすみました」
「そうなんですか」
「あるじさまは、ぜんいんにごほうびをくれるそうですよ!」
「まあ」
今剣は軽快な足取りで、短刀達が使う踏み台を台所の隅っこから運んで束穂と並ぶ。
「それはよかったですね」
「あるじさまはみんなをがんばらせるためではなくて、はりきりすぎたときに、どんな『たんしょ』がでるのか、ここすうじつでわかっただろうっておはなしをしてくれました」
「そうなんですか」
「これあらえば?」
「はい」
ご飯茶碗と味噌汁椀を今剣に任せて、小鉢と小皿に手を付けようとすると、今度は岩融が台所に入ってくる。
「どぉれ、俺もいっちょ手伝ってやろう」
「岩融さんもお話終わったのですか」
「うむ。主からの話は端的であった」
たすき掛けをしながら岩融はきょろきょろとあたりを見回す。
「では、今剣さんが洗ったものをこちらに並べてながら拭いていただけますか」
「よし。心得た」
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