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【刀剣乱舞】守護者の恋

第17章 長谷部の選択2


ぴりぴりと小さな衝撃を感じ、束穂は飛び起きた。時計を見れば、まだ午前1時半。
「……わたし……結界を強めるのを……」
忘れていた、と思いだした瞬間、再び衝撃を感じ、身体をビクリと震わせる。
感じ取ったこのひり付くような感覚は、以前味わったことがある。
何かが、明らかな敵意を持って、本丸に近づいて来ている。
不幸中の幸いと言って良いのか悪いのかはわからないが、歴史改変を目論む輩達ではない。これは、あやかしの類だ。
(昼間、本丸に来た者達を殲滅したと言っていた。何か関係あるのか……)
今の審神者には、以前仕えていた審神者が持っていたような、あやかし達が光だとか精だとかを感じるものはない。これもまた良いことかどうかはわからないが、それについては小狐丸のお墨付きだ。
であれば、単純に、あやかし達が集まる空間のような「特殊な者達が集まっている場所」だと嗅ぎ付けてやってきたのだろう。
寝間着にしている白とグレーのボーダーのカットソーワンピースだけのカジュアルな姿で離れを出た。審神者は多分気づいていない。近づく者が刀であれば気づくだろうが……。
ぱちん、ぱちん、と何かが結界にぶつかっている。
一つ、二つ、三つ。集中しても姿は見えない。霊体というものだろうか?あまり束穂はそれに詳しくない。
「束穂」
「あっ」
「何か、また来ていますね」
「はい」
門に近づこうと庭を横切っていると、あくびをしながら小狐丸が姿を現した。
過去に似たことがあったからだろうか、きっと彼もなんとなく感じ取って起きてきたに違いない。
だが、他の刀剣達はよく眠っているのか、誰の姿も見えなかった。
小狐丸は目を細め、ぴくぴくと耳を動かす。
「姿は見えぬが、この感じ、石切丸に切ってもらったモノと似ておる」
「はい。あやかしの類かと」
「結界は大丈夫なのですか」
「破られはしません。ただ、嗅ぎ付けて来ているということは、我々のせいで大分空間が歪んでいるということなので」
「無事に一晩明けたら、ぬしさまに進言なさい」
現代に戻れと。そういう意味だと彼女は正確に理解をした。と、その時。
「は……いッ!?」
ぱちん、ぱちんと感じていたひりつく感覚。
それが突然、「自分の結界への刺激」ではなく、自分の体への刺激となって束穂を襲い、不意を突かれて声が裏返る。
「束穂!?」
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