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【刀剣乱舞】守護者の恋

第14章 人の心刀の心(長谷部の章)2


その日一日は束穂にとってめまぐるしいものだった。
まず、突然過去に遡ったため、食糧調達をどうするかから始まった。本丸の敷地には食糧庫があって常に乾物など保存食、根菜類、長期保存可能な加工肉類などを業務用で購入している。それはあくまでも緊急用でいつもは日々配達してもらって新鮮な物を食しているのだが。
審神者が間抜けにも「狩りをやったことがある人」なんて言い出して「刀だったからなあ」と更に間抜けなことを獅子王が答えるという一幕の後、とりあえず審神者が頭を悩ます、ということで問題は後送りにした。
洗濯と掃除はどうにかなりそうだ。やはり問題は食事。
まずは「白飯担当」「味噌汁担当」と、惣菜を作ることが出来そうな「選ばれし者」をわけた。
「残りは生活能力のない無能組だから毎回皿洗いしてて」
辛辣に加州が告げた「無能組」は、御手杵、同田貫、宗三、小狐丸などが含まれる。どう見ても「やれば出来る」タイプなのだが、生活に関してはこと関心が薄すぎて話にならない、と勝手に決めつけられたメンバーだ。今剣に「無能なのですか?」とキッパリ聞かれた小狐丸は「みながそう思うならば多分そうなのでしょうなあ」と呑気に答えるのだから困り者。
ともかく、束穂は朝から晩までどうにか一日で出来る限りのことを教え、誰もが「それなり」に出来るだろう献立をまずは3日間分を書き出して台所に貼った。
事態は深刻なはずだったが、本丸で何かの催しを行っているかのようで、短刀や脇差達は楽しそうだ。抜刀達は大体そつなくなんてもこなすが、中でも陸奥がやる気を出している。
試しにと早めの時刻からみなで夕食を作った。
あまり上手に出来なかったし、野菜の皮むきはとんでもなく時間がかかったけれど――斬れるからといってそこまで器用なわけではないのだ――みなの結論は「毎回は嫌だけど人数いて分担するならまあいいか」だった。
後々食事当番のグループを決めたところ、競争心が芽生えて少しずつ上達していくのだが、それはまあ余談だ。
また、姿を二刻ほど消していた山伏が、どこからか山兎などの「食べられる哺乳類」を捕獲して来た。みなに「生臭坊主」と冗談半分で罵られていたが「拙僧は刀ゆえ」といいつつ処理をするほどの高スペックを見せつける山伏。その姿に数人が関心を持って、更なる自給自足の道を踏み出したのだが、それもまた余談。
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