第3章 始まりは…
大野side
智「⋯」
かずに抱きかかえられた事が何故か頭から離れず、玄関に座り込んでいた。
潤「大野さん?」
智「⋯」
潤「大野さん!」
智「えぁ?じゅ、潤!?な、なんでいんの!」
潤「え⋯いやお風呂の介助に⋯」
智「あ、あぁ⋯よろしく」
潤「はい」
びっくりした。潤、音もなく入ってきたから⋯
お風呂を手伝ってもらって潤とコーヒーを飲みながら次の個展について話していた。
潤「あと、20点ほどあればもっと見栄えがあるんですが⋯」
智「もうちょっと待てない?
今、いい感じにイメージができてきてるから」
潤「急がなくて大丈夫です!
その辺は僕が櫻井さんと話してきますから!」
智「ありがとう、潤」
潤「いえ!それよりさっき二宮?さんでしたっけ?
お会いしましたよ」
智「あぁ!潤が来るまで家でコーヒー飲みながら絵の話とかしてたから⋯」
潤「⋯そうですか。じゃあ僕はこれで」
智「え?もう?」
潤「はい、お話は終わりましたので」
そう言うと明日の予定も告げずにさっさと帰っていった。
気のせいかもしれないけどかずの話をした途端冷たくなったような⋯
明日のこと潤にメールしようかと思ったけど、携帯を探すのがめんどうでやめた。
それよりかずのことを、俺が感じたことを絵に表したかった。
智「⋯かずに見てもらいたいな
⋯⋯ふっ、何言ってんだろ」
頭の中はかずのことでいっぱいだった。
潤「大野さん..」
浮かれてた俺は潤の呟きが聞こえなかった。
嫉妬を含んだその呟きを。