第3章 始まりは…
二宮side
お金のお礼も言って。
色んな絵の話で大野さんと盛り上がっていた時。
ふいに俺の携帯が鳴った。
和「あっ…」
せっかく大野さんと話が弾んでいたのに…
智「・・・?どうしたの?早く出なよ。電話、切れちゃうよ?」
和「あっ、あぁうん…」
しかたなく携帯を取り出すと、着信相手は雅紀で
これから飲まないかということだった。
最近雅紀と飲んでばっかいるなぁ・・・と思いつつも、これ以上大野さん家に居るのも悪い気がして誘いに乗った。
和「あ、じゃあ今日はこの辺で帰るね。用事もできたし…それにこれ以上智さん家に長居するのもあれだから」
俺がそういうと
智「えっ、あ、うん…」
智さんは一瞬悲しそうな顔をした様に見えた。
玄関前まで見送ると言う智さん。
和「危ないからここでいいよ!」
智「大丈夫だから⋯」
うーん。
智さんって予想以上に頑固だな⋯
智さんの新しい一面をして嬉しくなってる俺がいた。
最後まで智さんは言う事を聞かず、玄関まで見送りに来てくれた。
靴を履き終え、後ろにいる智さんの方へ振り返ろうとした瞬間。
智「うわっ⋯!!!!!!」
床と玄関の段差につまずいた智さんが俺の方に倒れこんできた。
咄嗟に智さんを抱きかかえる形になった。
和「っぶねぇ」
…!
智さんから香る優美な香りのせいで離すのを忘れていたら、耳まで真っ赤にした智さんが
智「っあ、あの…そろそろ離してもらっても…」
耳元で智さんの可愛い声が聞こえた。
その声に俺は何故か体中が熱くなってしまい…
和「あ……」
慌てて体を離したけど智さんも気づいたようだった。
・・・まぁ確かに抱きついてる恰好だったらわかっちゃうよね。
自分で自分にツッコミを入れながらもそそくさとドアへ向かい
和「じ、じゃあまたいつか機会があったら…お会いしましょう」
智「えっ、あっ、は…はい」
和「ではっ」
そう言ってドアを開けて逃げるように外へ飛び出した。
飛び出した俺のすぐ目の前に俺よりも背の高い男が居た。