第3章 始まりは…
大野side
和が家にいる。
それだけでなんだか変な気持ちになる。
この気持ちが何なのかわからないまま俺は和をリビングに通した。
智「まぁ、座ってよ」
和「あ、うん」
智「お茶でもいれてくるね」
和「いいよ!絵を見に来ただけだし……」
智「うん……」
本当はお茶でも飲みながら少し話したかった。
和「俺、これが一番好きかも」
智「どれ?」
和「これだよ〜」
智「……わかんないよ。見えないから」
和「あ、あぁごめん。この灰色一色でこの世界を表現してるやつ」
智「ふふ」
思わず笑いが漏れた。
和が言うその絵は、俺の目が見えないことに対する絶望を、キャンバスの中の世界にぶつけたものだったからだ。
和「なに?」
智「それはね目が見えないっていう絶望を表現した絵だよ」
和「え……」
智「和って結構絵のセンスあるんじゃない?」
この人なら俺の絶望や痛み。
俺の全てをわかってくれる。
この時俺は直感でそう思った