第3章 始まりは…
二宮side
絵を見に行きたい、という俺のいきなりの提案を快くOKしてくれた智さん。
内心驚きながらも智さんの気が変わらないうちに・・・と焦ってる俺がいた。
食事もそこそこに智さんの案内のもと智さん家へとサポートしながら向かった。
大野さんの家は大きくて。
雅紀の家も相当なもんだけどそれ以上に凄い。
大きいし何よりも庭のセンスなども良い。
和「すごっ」
思わず漏れた心の声に智さんは
智「ははっ、そう・・・なのかな?俺は目が見えなくてよく分かんないんだけど・・・この庭も、家の掃除も・・・全て潤がやってくれてるんだ」
俺の知らない人の名前が出てきて。
和「ジュン?・・・誰?それ」
そう聞いたら
智「潤は・・・俺のマネージャーかな。でも、ほとんど俺の世話係になっちゃってるけどね笑」
智さんは潤の話をしている時だけ声のトーンが違って。
何故だか分からないが俺はその潤という男に嫉妬してしまった。
智「そろそろ・・・家に入ろっか」
そう言ってもうここまで来たら大丈夫だから、と智さんは白杖を使って玄関へと向かって歩みを進めた。
長い廊下を歩く。
やっぱり家の中も広い。
悔しいけど潤という人は物凄くセンスが良いんだろう。
廊下に置かれている家具一つ一つに気品が溢れていて美しい。
まるでこの家丸ごとが一つの作品であるかのような、そんな感じ。
でも、そんな家の中でも一際目立つもの・・・それは智さんが描いたと思われる絵。
廊下に等間隔に並べられた絵は、華やかな金の額縁さえも自らの引き立て役とするほどまでの存在感がある。
和「なんか・・・凄いっすね」
俺は絵なんて今までまるで興味がなかったからよく分かんないけど、でも。
この絵が相当価値のある凄いものだというのは俺でも分かる。
見た者全てを一瞬にして虜にするような魅力のある絵。
そんな絵を、今俺の目の前に居るこの人が描いているなんてとてもじゃないけど思えなかった。
俺に凄いと褒められて
智「えー・・そうかなぁ?・・・そうでもないと思うけどなぁ」
恥ずかしそうに照れながら長い廊下を白状を上手く使いながら足早に歩く。
智「・・・着いたよ」
そう言いながら目の前のドアを開ける智さん。
廊下に飾ってある絵に夢中だった俺は慌てて返事をした。
智「どうぞ」
智さんはそう言って俺をリビングへと招き入れた。