第2章 手と声と顔と
大野side
あの日、夢中で描いた絵は潤にも櫻井さんにもとっても褒めてもらった。
潤「大野さん!この絵凄いです…何か引き込まれる。」
翔「あーそれわかります!俺1番好きかも…」
智「そ、そんなに…?」
潤・翔「はい!」
智「何か照れるよ……」
翔「この絵も含め、結構揃ってきたのでそろそろ次の個展の準備しましょうか?」
智「はい!ありがとうございます」
潤「どうぞよろしくお願いします」
翔「任せてください。あ、松本さんちょっといいかな?」
潤「はい?」
智「じゃあ、僕はこれで」
潤「大野さん!今日こそ送りますよ!」
智「いいよ大丈夫だから。それにちょっと寄りたいとこあるし」
潤「わかりました…お、お気をつけて。」
智「うん!じゃあまた朝連絡するよ」
潤「わかりました」
潤と別れて、あの日歩いた道を今日も歩いて帰った。
もしかしたら、あの人に会えると思って。
いや、心の中では絶対会えると思ってた。
でもその日は会えなかった。
仕方なく俺は行きつけのレストランに行って夕飯を済ませた。
影山「食後のコーヒーです。」
智「あ、ありがとう」
影山「何かありましたか?今日は元気がないように思えますが?」
智「ううん何でもない。コーヒー飲んだら帰るね」
影山「そうですか…わかりました。ごゆっくりどうぞ」
それから俺はコーヒーを飲み終わったので会計して店を出て歩き始めてすぐ、人にぶつかってしまった。
「いってーなー!」
智「あ、すみません!」
「お?お前大野智じゃね?画家の」
智「そうですが…」
「へぇ〜こんなとこ歩いてんだね。てかさ、あんたが持ってるその棒当たってさ怪我したんだけどもちろん慰謝料はらってくれるよね?」
智「そ、そんな!ちょっとぶつかっただけじゃ…」
「がたがたうるせぇんだよ!見えねぇのに文句言ってんじゃねーよ!見えねぇなら黙って金払えばいんだよ!」
「おい、どこ怪我してんだ」
助けてくれた人の声は、あの歌を歌ってた人の声だった。