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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第4章 アナタ ト イキタイ【イケメン戦国】


さんはどうしただろうか?

俺とした事が簡単に捕らわれてしまうなんて……やっぱり心の迷いって行動に障害をもたらす物なんだと痛烈に実感してる。


俺は春日山城を脱け出して、さんと元の時代へ帰る予定だった。

さんと待ち合わせてタイムスリップが起こる予測地点、本能寺へ向かうはずだったのに…。

忠実な忍びである俺を手離したくない謙信様に見付かってしまい、この座敷牢に閉じ込められてしまったんだ。


正直、俺は迷ってた。

謙信様の事は心から尊敬してる。

たった1人この時代に飛ばされて来た俺を、一人前の忍びに育ててくれたのだって謙信様だ。

この時代に残って、俺の生涯を謙信様に捧げようと考えたのも1度や2度じゃない。

だけどさんと一緒に元の時代へ戻る事が一番自然な流れじゃないのか……その考えも棄てきれなかった。

結局答えが出せないまま春日山城を脱け出そうとした俺は、やっぱり隙があったんだろう。

いつもなら簡単に手玉に取れるような謙信様の家臣達にあっさり捕まってしまった。

何とか幸村に事情を説明して、さんとの待ち合わせ場所へ行ってもらう事が出来たけど……その時以来、謙信様の姿を見ていない。

何か、途轍も無くイヤな胸騒ぎがする。

さんが無事でいてくれればいいのだけど。
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