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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第22章 其の女【薄桜鬼】


それからも俺は数え切れない位の女を抱いた。

其の全員が一度きりの睦み合いだったが。

そんな最中も俺の頭の中では決まって一人の女を思い浮かべていたんだ。


屯所の土蔵で別れた儘の女。

二度と遭う事の無かった女。


女の消息は全く掴めず、俺が通い詰めたあの店も自然に任せ寂れていった。

其れでも何処かで笑ってくれてりゃ良いと、私には手に入らないと言っていた《幸福》を掴んでくれてりゃ良いと、そう願わずには居られなかった。



ああ………

懐かしいな。

此所最近は頻繁に京での出来事を思い出す。

女が守ってくれた俺の矜持に従って戦い続け、蝦夷の函館迄辿り着いてからは特に。

あの頃、俺と共に戦ってくれた総司も斎藤も既に居ない。

だから……なのかもしれねえな。

俺の人生も残り少ねえんだろうよ。



最期の最期迄、手に入れられなかった女。

一日足り共、忘れた事の無い女。

此の《土方歳三》を守り抜き、其の癖最期の最期迄悩ませた女。


ああ、間違い無く俺はお前を『愛していた』




そう…………

《其の女》の名は『』という。







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