第4章 アナタ ト イキタイ【イケメン戦国】
「さあ、安土に帰るよ。」
イラついた声でそう言って、私に手を差し出す家康。
そんな家康に少しだけ怯えた目を向ける私を安心させるように、三成くんがいつも通りの天使スマイルを浮かべて頷いた。
「大丈夫ですよ、様。
何も心配は要りませんから、私達と一緒に帰りましょう。」
うう……やっぱり三成くんの天使スマイルは最強だよ。
「おいおい、何を勝手に話を進めていやがるんだ。
は俺達と春日山城に向かう途中なんだよ。
安土に戻る訳ねえだろうが。」
そんな家康と三成くんに向かって声を荒げる幸村。
その後ろでは謙信様が不敵な笑みを湛えて立っている。
「言うまでも無いが、俺はこの女を手離す気は更々無い。
どうしても安土に連れ帰ると言うのなら
先ずは俺と刀を交える事になるが……。」
ゆったりとした所作で刀に手を掛ける謙信様を見て、家康も不敵に笑って腰の刀に手を伸ばす。
「上等だよ。
何が何でもを連れ帰れって言うのが
信長様から承った使命なんだ。
その上あんたの首も持ち帰ったら
信長様は大層喜んでくれるだろうしね。」
一触即発の家康と謙信様を目の当たりにして、私はただオロオロするばかり。
もう…一体どうしてこうなっちゃうの?