第19章 憧憬なんかじゃない【恋愛幕末カレシ】
「んんっっ……」
慶喜さんが挿入って来る。
ゆっくりと、私の中を均すように。
痛みなんて全く感じない。
唯々その自分が圧し拡げられていく違和感に歓喜が湧き上がって、じわりと涙を滲ませた。
「……痛むかい?」
私が無言でフルフルと小さく首を振れば
「君は本当に…可憐しい。」
慶喜さんはそっと頬を撫でてくれる。
そのまま慶喜さんを根元まで受け容れ、これから抽挿が始まるのかと思った時……
何故か慶喜さんは私の腰を掴んでズズッと引き寄せ身体の向きを変えた。
「………?」
不思議に思って潤んだ目で慶喜さんを見上げると、その表情は妖艶に綻んでいて
「……見てごらん。」
私の顎を掴み顔を左側に傾ける。
そこに在ったのは………所謂、姿見と呼ばれる物。
勿論私が居た時代の鏡とは違って映る姿はそれ程鮮明では無いけれど、それでも私と慶喜さんが全裸で重なり合っている状態は充分に認識出来た。
「………っ!」
まさか自分のこんな姿を目の当たりにするなんて!
余りの羞恥に息を飲み全身を強張らせる私を慊焉たる表情で見下ろす慶喜さんが
「もっと見てみるかい?
………ほら?」
私の両膝を思い切り左右に広げる。
「あ…ああ……
いやぁ……」
鮮明じゃない……確かにハッキリとは認識出来ない。
だけど私のアソコに慶喜さんのソレがズッポリと埋まっているのが分かって……
ううん、それ以上に『自分のセックスを見せられる』という倒錯行為が否応無く私を追い込んでいった。