第18章 ずっとずっとずっと、そのまま【薄桜鬼】
「……時尾。」
苦しさに耐え兼ねてその名を吐き出した瞬間、時尾の瞼がぱちりと開かれた。
「俺の……言っている事は分かるのだろう?」
当然返事は無い。
其れを良い事に、俺は自分の薄穢い欲望を捲し立てる。
「抱きたい。
あんたに触れたい。
頼む、こんな卑しい俺を拒まないでくれ。
俺を受け容れてくれ、時尾。」
時尾の身体と気持ちを気遣う可きなのは充分過ぎる程に理解している。
それでも今夜の俺は……
自分自身の下卑た欲望に抗い続けていると、ふと気付く。
時尾の見開かれた瞳に俺の姿が映っている事に。
見紛う事無く、時尾は俺を『見て』くれていた。
あの斗南で血に塗れた夜から三年経ってやっとだ。
「……良いのか?」
やはり返事は無い。
頷きもしない。
だが、拒まれてはいない。
確かにそう感じた。
「許せ、時尾。
許せ……」
俺の両手が急いて時尾の着ている物を乱していく。
この官舎に入ってからも、時尾は着替える時などに俺の前でも平気で全裸になった。
その姿を目にした所で唯微笑ましく思うだけであったが、今は違う。
そう今は、俺に抱かれる為に脱がされているのだ。
気が付けば、俺の牡茎は完全に勃起していた。
忘れもしない、あの熱と滑りを求めて我儘にひくついている。
「時尾……愛している。」
数え切れぬ程伝えた言葉。
これから先、消える筈も無い想い。
その全てを注ぎ込む様に、時尾の唇に己の震える唇を重ねた。
そして以前より少し痩せた身体に隙間無く舌を這わせ、俺を受け容れてくれる部分に辿り着く。