第17章 Coquettish game【イケメン戦国】
『が産む子なら誰が父親でも関係無い』
なんて男4人で勝手に纏まってしまったけれど、一番大事なのはさんの気持ちだ。
さんは昨晩の出来事なんて碌に覚えていないかもしれない。
もしかすると自分が妊娠するかもしれない可能性に、ちゃんと気が付いていないのかも?
男の俺が、然も父親に成りうるかもしれない俺が、聞ける事じゃないのかもしれないけど………
俺は隣に居るさんの顔を見ることも出来ず、前を向いたまま遠慮がちに問い掛けた。
「ね、さん。
昨夜……言った事、覚えてる?」
「………え、なあに?」
「えーと、その……
赤ちゃん……出来ちゃう…って……」
さんが息を飲む気配がする。
ああ、泣かせてしまうかも……そう思った俺が慌ててさんの様子を見遣ると……………
さんは両手を添えた自分のお腹を見つめて、嫋やかに微笑んでいた。
その笑顔は神々しいくらいに綺麗で……そして確信的だ。
そこで俺は悟る。
俺達はさんに搦め捕られてしまったんだ…って。
さんは俺達4人を誰一人欠けさせる事無く、ずっと一緒に居られるようにしたかったんだ。
そうだね、君のお腹にはきっと宿っている筈だ。
………俺達4人の子が。
気が付けば、俺の顔も自然に綻んでいた。
そう言えば昨夜、さんが眠ってしまった後に謙信様が言っていたな。
「この『野球拳』という遊戯……
中々に愉快で気に入った。」
……って。
あれ、絶対に誤解してるよ。
さんを抱いた行為までも『野球拳』の一部だと思っちゃってるんだろうな。
でも、まあ…誤解を解くのも面倒臭いし…………
そうだな、さんのお腹が大きくなっちゃう前に………
俺は隣に座るさんの耳元へ顔を寄せて、そっと囁いた。
「ねえ、さん。
また今度、皆で『野球拳』………
シようか?」
了