第17章 Coquettish game【イケメン戦国】
事の起こりはいつも通りの本当に些細な会話からだった。
「………退屈で堪らぬ。」
夕餉を終えて相も変わらず五人で酒を飲んでいると、謙信様が仏頂面で呟いた。
俺と幸村は「また始まった」と言わんばかりに溜め息を吐く。
「何故、最近は戦が起こらぬのだ?」
「謙信様、
戦なんか起こらないに越した事はないじゃないですか。」
さんも少し困った様な顔をして謙信様にお酌をした。
「戦なんか……だと?
俺は戦いの中に身を置いてこそ生きていると実感出来るのだ。
これ以上安穏とした日々が続けば寿命が縮まるぞ。
そうだ、信玄。
今から安土に奇襲を掛ける……というのはどうだ?」
「ははっ……馬鹿を言うな。
あの第六天魔王はそんな行き当たりばったりで
倒せるもんじゃねえだろ。」
信玄様も流石に呆れて苦笑を漏らす。
「ふん。
何奴も此奴も腰抜けめ。
身体中の血が沸き立つ様な勝負をしたいとは思わぬのか。」
そう言った謙信様は苦々しく信玄様を睨み付けると、盃の中の酒を一気に煽った。
「勝負って言えば……」
突然何かを思い付いたのか、幸村が俺に向かって声を掛けて来る。
「佐助とが居た時代にはもう戦はねえんだろ?」
「ああ、平和そのものだ。」
「じゃあ、何か勝ち負けを決めなきゃいけねえ時とか
どーすんだよ?」
幸村の疑問に俺とさんは顔を見合せ首を傾げた。
そして暫くの後、さんがポツリと呟く。
「じゃんけん……かな。」