第16章 七ツ下がりの雨【薄桜鬼】
それから三日三晩、私は沖田さんを探した。
いつ流れ弾に当たっても、怪しい人間だと斬り掛かられても可笑しく無い状況の中、路傍に転がる屍の顔も逐一見て歩いた。
女が一人で何をしていると匿ってくれようとした優しい人も居たけれど、私は只管歩き続けて……
今は薄暗い森の中に屈み込んでいる。
着ている物は既に襤褸同然で、身体中が泥だらけだ。
何処で引っ掛けたのだろうか……足の其処彼処から血が出ていた。
どうしよう……もう歩けない。
まだ沖田さんは見付かっていないのに……
どうしよう。
「沖田……さん…」
抱えた自分の膝に顔を埋め、涙声でその名を呼ぶ。
どうしたら沖田さんに会えるの?
私はもう探せない……じゃあ、沖田さんなら私を見つけてくれる?
沖田さんなら…………
私は頬を伝う涙を手の甲でぐいと拭い、痛む身体に鞭打ってふらふらと立ち上がった。