第15章 爛熟の刻【薄桜鬼】

身体を重ねたまま心地好い倦怠感に身を任せて居ると、先に絶頂の余韻から抜け出したが俺の背中に腕を廻し大きく息を吐いた。

俺は少し上体を起こしの顔を見つめながら、その溜息の意味を問う様に首を傾げる。

「………ん？」

「ううん……何でも無い。」

「何でもねえって顔じゃねえだろ？
　言えよ。」

「何でも無いってば。」

「駄ー目ーだ。
　言え。」

の鼻先を摘まんで巫山戯た様子で睨み付けると、

「あのね……あのね……
　好きな人に抱かれるのって……
　こーんなに幸せで、こーんなに気持ち良いんだな……って。
　私、もう死んじゃいそうなくらい嬉しいの！」

そう言っては満面の笑みを浮かべた。

そんな当たり前の事をまるで自分だけに奇蹟が起こったのだと言わんばかりに喜ぶが可愛くて、愛おしくて……本当に堪らねえ。

この先、本気での為ならば何でもしてやれると思った。

生涯を守る為に生きようと、俺の全てはの物なのだと……そう思った。

とても言葉では伝えきれない……

だから俺はその想いをの身体に沁み込ませようと、また長い時間を掛けの全身を舌と指で愛撫して何度も何度も絶頂させた。



その後、俺は直ぐにでもの実家へ向かおうとしたが、は任された仕事はきっちり遣り遂げたいと引き続き新選組の間者として働いてくれた。

俺はまたが他の男に惚れられでもしたら…と、気が気じゃ無かったがそう時を置かずしての手に入れてくれた情報により、新選組は善からぬ事を企んでいた維新志士を一掃する事が出来たんだ。