第15章 爛熟の刻【薄桜鬼】
「不知火さんの手は……
不知火さんの言葉は……優しかった。
自分が男の人にこんな風に愛されても良いんだ…って
私、初めて知ったの。」
そうか……は弟の欲望を打つけられるだけで、男に『愛された』経験が無いんだ。
「それにね……不知火さんのお陰で、左之さんとこうなれた。
……そうでしょ?」
俺を見上げて微笑む。
その瞳が俺の想いを確かめるべく不安そうに揺らめいているのに気付けば、もう俺の言ってやれる事は……
にしてやれる事は一つしかねえ。
「愛してる……。
もう一度、俺だけにお前をちゃんと愛させてくれ。」
不安に揺れていたの瞳が再びじわじわと潤み出し
「……嬉しい。」
そう呟いてから俺の首に両腕を回して口付けて来た。