第15章 爛熟の刻【薄桜鬼】
「こんな方法を取っちまって悪かったなァ。
手前ェに惚れて、手前ェを抱きたいって薄汚い感情で突っ走っちまった。
それでも……に悦んで欲しいって、
を悦楽に溺れさせたいって……
それだけは嘘じゃねェ。」
不知火は俺に肩を抱かれて俯くの顔を覗き込み、その髪を梳く様に優しく撫でる。
「俺もだ……。
俺も知らなかったとは言え、あんな酷え事を…。
すまなかった、。」
不知火同様、俺もそう言って謝罪するとは自嘲気味に声を上げて笑った。
「酷い事……?
あれが?
あんなの私は平気だよ。
だって弟にはもっと酷い事されてたんだから!
どんな事か教えてあげようか?
二人共、きっと吃驚する……っ」
「止めろっ!」
俺はを黙らせる為に、その顔を自分の胸に押し付ける様にして抱き締める。
「止めてくれ……。」
そこからは誰も言葉を継げず静寂が訪れた。
ここから先、俺達三人はどうするべきなのだろうかと、答えなど有る筈の無い問題が頭の中をぐるぐると回っていた時……
「……嬉しかったの。」
が小さく呟いた。
その声に俺と不知火が同時に息を飲む。
「だって私……
貴方の事が、好きだから。」