第15章 爛熟の刻【薄桜鬼】
「俺だって腹括ってんだ。
生半可な想いでにこんな事してるワケじゃねえ。
原田……
手前ェがどうしても俺からを奪うって言うなら……
心中する覚悟だって出来てる。
にしてみりゃ、只の無理心中だけどよ。」
不知火はそう自嘲気味に呟いて、に銃口を向けたんだ。
確かにを愛撫する不知火の目は優しい光を湛え、その手付きも決して乱暴では無かった。
只管に悦楽に導こうとしてるのが分かる。
をこうさせた方法は戴けねえが、今のにしてみりゃ不知火に可愛がって貰う事が一番の望みに成っちまってるだろう。
力尽くで不知火からを取り返し逃げるとしても、その後のに待っているのは地獄の刻だ。
長い時間を掛けて媚薬に蝕まれた身体は簡単には治まらねえ。
全身を這い回る激しい疼きは大の男にだって耐えられるかどうか……。
を救い出し、俺の手でその疼きを治まらせてやる……なんて御都合主義な考えが頭を過ぎり、俺は自分の醜悪さに吐き気がした。
「さあ……どーすんだ、原田?
このまま見てる気か?
見てるだけなら構わねえが、邪魔するつもりなら出てってくれ。
それとも………」
不知火の右手が拳銃を手放し、背後からの顎をぐいと持ち上げる。
未だ秘部を弄られ続けているの顔は悦楽に歪み、怖い位に美しく見えた。
「俺と原田……
二人掛かりでを可愛がってやるかァ?」