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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第14章 God bless you【ドリフターズ】


全ての事柄に背を向けるが如く、私は寝台の端で壁に向かって身体を丸めた。

何も見ず、何も聞かず、かたかたと震える自分の身体を抱えて、襲い来る恐怖を必死で耐える。

そんな私の姿を暫く無言で眺めていた『空神様』は、

「………チッッ。」

一つ舌打ちをすると私とは対角線上の端に腰を下ろし、腕を組んだまま動かなくなった。


それからどれくらいの時間、お互いにそのままで居ただろう。

潮風に晒され冷えた鉄の壁に囲まれた船室は寒くて凍えて仕舞いそうだ。

吐く息は白くて、鼻先も感覚が無い程に冷たい。

既に恐怖では無く、寒さに震える身体を抱えながら私は思った。

こんな時、いつも私を暖めてくれる誰かが居た。

襟巻を巻いてくれて、抱き締めてくれた。

何度も私の名前を呼んで……

身体中に口付けてくれて………

そして私の目からはぽろぽろと涙が溢れ出し

「会いたいよ……『空神様』…」

そう呟いた瞬間、寝台がギシギシと大きな音を発て、近付いてきた人の手が私の顎を捕らえる。

「フンッ…正気に戻ったみてえだな。」

膝立ちになって私に覆い被さる様に上から顔を寄せるのは……

「……直さん。」

その名を呼べば『空神様』は目一杯に破顔した。

「漸く御呼びかよ、!
 遅えんだよ、バカヤロウ!」
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