第12章 密か【イケメン幕末】
自分の淫らさに動揺しつつも、抗えない程に心地好い倦怠感。
それに身を委ねぐったりと横たわる私の身体を、近藤殿の手は労る様に撫で回した。
「可愛かったぞ、。
お前に悦んで貰えて、俺は感無量だ。」
愛おしい人にこんな慈愛に満ちた言葉を掛けられれば、否が応でも幸福感が沸き上がる。
うっとりと近藤殿の優しい笑顔を見上げながら……
私は不意に気が付いた。
「近藤殿!」
突然がばっと上半身を起こした私に、
「おおっ……どうした?」
近藤殿は驚いた様子を見せる。
「私だけが果てて終わりではいけません。
近藤殿にも悦んで頂かなくては……」
そして私は徐に近藤殿の着物に手を掛ける。
良く良く考えてみれば、女が男の着物を脱がそうとするなど末代までの語り草になる程みっともない行為だが、この時の私は必死だった。
とにかく近藤殿にも悦楽を与えて差し上げなければ…と、その想いだけに捕らわれて他の事になど考えが及ばなかった。