第11章 狂った三日月夜【薄桜鬼】
鍛え上げられた靭やかな筋肉、下腹に残る一本傷、萎えても充分な質量を持つ牡茎………
全裸の左之さんの全てに昂り、僕はごくりと喉を鳴らした。
そして懐から陶器の小瓶を取り出し、中身の液体を口に含んでから左之さんの頭を両手で固定し
「止めろっ……総……っ!」
左之さんが言い終わらない内に唇を塞ぎ液体を流し込む。
吐き出して仕舞わない様、左之さんの嚥下を待ってから唇を離した。
「かはっ……何を……
何を飲ませやがった?」
「大丈夫ですよ。
身体に悪い物じゃ無いですから。」
只の媚薬です……僕は心の中で呟き微笑んで見せる。
「じゃあ……ちゃんにも。」
そう言って踵を返した僕の背中に、
「止めろっ!
止めてくれ、総司!
頼むからっ……」
左之さんの悲痛な叫びが投げ付けられた。
そんなにちゃんの事が大事なの?
……………やっぱり妬けちゃうなぁ。
ちゃんはカタカタと身体を震わせながらも、僕の指示通りじっと動かないで居る。
ちゃんも左之さんの身の安全を考えて恐怖に耐えているんだろう。
本当に良い子だよね、ちゃんって。
本当に………それが僕をこんなにも苛立たせるけれど。
僕はそんなちゃんの傍らに屈み込み
「口付けるのは勘弁してあげる。」
その可愛らしい鼻をきゅっと摘まんだ。
「………っは…」
反射的に開いたちゃんの口の中に小瓶に残っていた液体を全て注ぎ、それを飲み干すのを確認してから僕はゆらりと立ち上がる。
「でも……口付けるより酷い事をしちゃうと思うけど
…………………許してね。」