第8章 横恋慕【イケメン幕末】
四季までの帰り道、私は土方さんと歩いていた。
近藤さんに頼まれた土方さんが私を四季まで送って下さる事になったからだ。
「あー……
お前、今日は近藤さんと出掛けたんじゃ無かったのかよ?」
唐突に土方さんが問い掛けて来る。
「はい。
出掛けましたよ。
今日は四季がお休みだったので、近藤さんが誘って下さって。」
「近藤さんは何て言ってお前を誘ったんだ?」
「えっと…何時も屯所の食事の世話をしてくれるお礼に…と。」
私が有りの侭を答えると、土方さんは盛大に溜め息を吐いた。
「だったら何でまた屯所で飯なんて作ってんだよ。
近藤さんと二人で四季で食えば良いだろうが。」
土方さんの言葉に、私の鼓動がどくんと鳴った。
それは、私もそう出来れば嬉しいんだけど……でも…
「近藤さんはどんな時も新選組の事を一番に考えられてますから。
だから私も少しでも近藤さんのお役に立てたら嬉しいんです。」
自分を納得させる様にゆっくりと言葉を紡ぐ私を見下ろして
「全く……近藤さんもお前も……」
土方さんはまた大きな溜め息を吐いた。