第7章 Phantom pain~幻肢痛~【薄桜鬼】
僅かな時間、寄り道をしただけだ。
僅かな時間、夢を見た。
それなのに……この痛みは何なのだ?
……
お前には片腕位ならくれてやっても惜しくは無いと俺は言った。
確かにそれは本音だった。
だが、今は片腕どころか臓物を喰われてしまった様な感覚だ。
お前に喰われた俺の心臓がずくずくと痛むのだ。
失くした筈の物が痛みを訴えて来る。
…………まるで幻肢痛だな。
俺と過ごした僅かな時間、お前は幸福を感じられただろうか?
俺と肌を重ねた時には悦びを感じられただろうか?
生きていて良かったと、意味が有ったと思ってくれただろうか?
なあ、……
お前が喰った俺の心臓は……
美味かったか?
了