第1章 安心の時間
「っ…あかば、ね…」
いつも授業でビッチ先生にされてるような、熱くて濃厚なキス。
少し唇が離れると、両肩を掴んで押し返された。
「君からなんて珍しいな。
何か企みでも?」
ジロリと睨まれた。
ふーん、受けは慣れてないんだね。
いつも余裕そうな顔して人のことガンガン攻める癖に。
「やだなー、ないってば。そんなの。
ただのご褒美。
最近無性にしたくなるんだよね、なぜか」
浅野クン見てるとなぜかそういう気持ちになる。
「問題発言だな。
俗に言う発情期、というやつか?」
「へー。
そんな言葉知ってんだね、生徒会長サマは」
「僕が知っていたら何か問題あるのかな?」
バチバチと火花が散る。
「別にぃ?
意外とエロイんだなぁ、って思っただけだから」
口元に円を描いたように愉快そうに笑う。
君のその顔が嫌いなんだ。
…けど。
「そういう赤羽こそな」
君のその顔が好きだったりする。
嫌いだけど好き、好きだけど嫌い。
自分の考えに矛盾を見つけるのは、これで何回目のことだか。