第1章 安心の時間
「んー…証明問題だね。
紙とペン貸してよ」
「そこにあるのを好きに使えば良い」
この切り替えの速さは流石だ、赤羽。
一通り頭で考え、細かな計算を紙に記す。
お世辞にも綺麗とは言えない字だが、僕としては嫌いじゃない。
「はい、出来たよ」
「確認しないのか?」
「え、だってこれ正解だから」
シレッと答えた。
「確かに答えは合ってるが、それじゃいつかケアレスミスするぞ」
「ま、肝に銘じておくよ。
それで?正解したけどなんもないの?」
わざわざ解いたんだから、何かご褒美あっても良いんじゃない?
例えば浅野クンのエロイ姿とか。
「ふぅ…」
浅野クンが軽く溜め息を吐くと、唇に温もりを感じた。
「これで良いか?」
浅野クンはいわゆるキス魔だ。
何かというとキスをして来る。
「やだね、足りない」
イスに座り、俺を見上げるような格好の浅野クンの唇に噛みつくようなキスをする。