第1章 安心の時間
「君が常に言う “ 誰からも縛られない ” というやつか?」
「まぁね。
俺縛られんの嫌いだし、自由で居たいじゃん?」
「僕は支配したいと思うけど」
あのパパの影響?
「とことん正反対だよね、俺ら」
「だからこそ惹かれたんじゃないか?互いに」
「相っ変わらず恥ずいこと平気で言うよね、浅野クン」
不意打ちの言葉にほんのり耳が赤くなる。
「恥ずかしいこと、なのか?
僕はただ思ったことを言ったまでだが」
「はぁ?
分かんねーの?」
「この僕に分からないことがあるとでも?」
ニコッと黒い笑みを浮かべる。
「はいはい、それは分かったってば」
浅野クンは “ 分からない ” と、問われるのを嫌う。
分からないことがあるなんてプライドが許さないんだろう。
「赤羽。
問4を解いてみろ、3分以内だ」
「問4?」
ベッドからのっそり起き上がると机まで寄り、参考書を覗き込む。