第5章 海の時間
「そっか。
まぁ、仲良くしてるなら良いんだ」
「それなりにね」
「揉めごとだけは起こさないようにな?
それじゃ、俺はもう行くから」
「ん」
「あぁ」
そう言うと子供の居る方へと走って行く。
「磯貝になら話しても良かったんじゃないか?
僕と君の関係」
あいつは他言するような奴じゃないし、何より深く踏み込んで来ない。
「あー、確かに。
磯貝なら良いかもね、ちゃんと口止めしとけば。
色々と役に立ちそうだし」
「手駒にする気か、君は」
「否定はしないよ」
「…君も…弟や妹が居るのか?」
「居ないよ」
「兄や姉は?」
「だから居ないって、俺1人っ子だから」
「そうか、それは僕もだ」
まだお互いの詳しいことを知らない。
特に知りたいとは思わなかったから、あえて質問することはなかったのだ。
「なんかあった?
浅野クンちょっと変だよ」
「なんでもない」
磯貝の弟達を見て、ふとそう思っただけだ。