第5章 海の時間
「それは同感だな。
君も見かけに寄らず可愛いから」
「可愛い言うな、俺男だし」
「知ってる」
「んじゃ、現地集合で良い?」
「いや、君の家まで僕が迎えに行こう。
君には約束をすっぽかす癖があるからな、信用ならない」
「ちょ、失礼じゃね?
確かにすっぽかしたことあるけどさ。
ン!…っ…な、にすんのかなァ?」
いきなり口塞ぐとか。
「減らず口だったからな」
「何それ。
浅野クンが外でキスしてくるなんて珍しいじゃん。
けど、どうせするんならもっと熱いヤツちょうだいよ」
「調子に乗るな」
「残念。
それより今週末だからね。
あ、先言っとくけどさ。
本とか参考書とかそーゆー類いのモン持ってくんのは禁止だから!
せっかくなんだし、1日ぐらい何もせず遊ぼうよ。
生徒会長サマ?」
「僕はそれでも構わないが、底辺のE組所属の君は勉強するものを持参した方が良いんじゃないか?
赤羽」
「E組は楽しいよ?
そりゃもう本校舎とは比にならないぐらいに。
俺あそこ好きだし」
「僕はA組であることに誇りを持っているんだ。
例え何があろうとE組にだけは落ちないさ」
「あっそ。じゃあまたね、浅野クン」
「あぁ」
素直じゃない俺らの挨拶。
端から見ればケンカしてるように見えるだろうけど、当人からすると戯れ合っているだけだ。