第5章 海の時間
「ねーねー、浅野クン。
今週末海行かない?」
「海?何をしに?」
学校から帰る途中、偶然会った浅野クンに声をかけた。
「そ。
遊びに、に決まってんじゃん。
他に何があんの?」
「いや、ないな」
「でしょ?
一緒に行かない?」
「別に構わないが」
「じゃ、今週末ね」
「あぁ。
そんなことより、ここまでコソコソしないといけないのか?」
建物と建物の間に引っ張られた。
「えー、だってバレたくないじゃん」
「そういうものなのか?」
「うん、俺はね。
うちの連中ゲスいのが多いから、付き合ってる奴が居るってだけであれこれ突かれるから」
「そんなに多かったか?E組は」
「うん。
先生と、岡島、前原、あとビッチ先生、中村さんとか。
あげたらキリないでしょ?」
「先生って…あの集会に居た先生か?
とてもそんな風には見えなかったが」
「あー…まぁ、人は見かけに寄らないんだよ」